#13 意思決定の過程を内省し、認識の社会化をはかる社会科授業

教授学習観

子どもの「心理」を重視した「意思決定」型授業を提案するために、①意思決定過程の内省、②認識の社会化、の2点から改善した授業計画を提案した豊嶌啓司氏の論文を紹介。

 

 

この論文を紹介する理由

教室で子どもと共に社会科の授業をつくる実践者として、「何を考えさせるか」という内容面に加えて、「どのようにして考えさせるか」という活動面も踏まえた授業づくりとして参考になるからである。

 

 

 

この論文を読むことで分かること

  • これまでの社会科授業論が孕む実践上の問題点
  • 「社会的文脈に自己を位置づける」授業の方法論

 

 

 

論文の要約

研究の背景

戦後、社会科が新教科として創設されて以来、「社会科授業を如何につくるか」様々な授業論をもって議論されてきた。そして、その多くは「社会の何をどのように教えるか」というスタンスから「授業の論理」に照射したものでもあった。そこでは、「子どもは社会をどのように学ぶのか」という「子どもの心理」が十分考慮されてこなかったのではないか。

 

 

 

研究の目的

「子どもの心理」を重視した「意思決定型」の授業を提案すること

 

 

 

研究の方法
  1. これまでの社会科授業論が抱える問題点の整理
  2. 問題点を克服する社会科授業論の検討
  3. 検討した社会科授業論に基づく単元「現代日本の歩みと私たちの生活」の開発

 

 

 

 

研究の有効性

「意思決定過程の内省」「認識の社会化」を加味した「意思決定」型の授業は、子どもたちが社会的文脈に自己を位置づけることができる。

 

 

 

 

今後の課題

未だ実践を経ない机上プランであるため、子どもたちの認識が相互に社会化していく様を分析し得ていない。この点についてのメカニズムを明らかに報告することが課題であると考えている。

 

 

 

 

自分の考え

学校教育という「集団」で学ぶことの意義の一つとして、社会的相互作用により認識が社会化されていくことにあると考える。

著者も今後の課題で述べていたように、認識が社会化するプロセスを可視化することが重要であると考える。

そうすることにより、教師による効果的な手立て(形成的評価)が可能になり、より「子どもの心理」を重視した「意思決定型」授業をデザインすることができると考える。

 

論文情報

【タイトル】意思決定の過程を内省し、認識の社会化をはかる社会科授業

【著者】豊嶌啓司

【雑誌名】社会系教科教育学会 , 『社会系教科教育学研究』, 第13号 , pp.9-19

【出版年】2001年

【こんなときにオススメ】認知心理学の知見を生かした授業づくりについて知りたいとき

【タグ】中学校社会科、意思決定

 

 

 

参考文献

豊嶌啓司(2001):意思決定の過程を内省し、認識の社会化をはかる社会科授業 , 社会系教科教育学会 , 『社会系教科教育学研究』, 第13号 , pp.9-19

意思決定の過程を内省し,認識の社会化をはかる社会科授業 (<特集> シンポジウム : 社会科授業論のニューウェーブ : これまでの授業ではどうしていけないのか、これからの授業をどのようにつくるのか) | CiNii Research
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