#25 社会科の授業構成と子どもの知識の成長とについての考察(上)

学習観

理論獲得中心型の授業構成論における知識の成長論の問題点を明らかにし、子どもの心理的発達の論理にそくした授業構成論を再評価するための新たな観点を提起することを目的とした藤井千春氏の論文を紹介。

 

この論文を紹介する理由

子どもの心理的発達の論理にそくした授業構成について考える上で参考になるため。

 

 

 

この論文を読むことで分かること

  • 理論獲得中心型の授業構成論の問題点
  • ゲシュタルト中心性の理論に基づいた知識の成長
  • ゲシュタルト転換中心型の授業構成論

 

 

 

論文の要約

研究の背景

理論獲得中心型の授業構成論においては、まずどれが質の高い知識なのかという、教えるべき内容が決定され、それを獲得していくための子どもの主体的な活動の方法が求められていく。

 

 

 

 

研究の目的

子どもの心理的発達の論理にそくした授業構成論を再評価するための新たな観点を提起すること

 

 

 

 

研究の方法
  1. 理論獲得中心型授業構成論の問題点の検討
  2. 知識の成長についての考察
  3. ゲシュタルト転換中心型授業構成論の提起

 

 

 

研究の有効性

【理論獲得中心型の授業構成論の問題点①】

概念の転換をともなう場合とともなわない場合とを区別することができず、そのため現実の認識からかけはなれたものとなってしまっていることを指摘した。

 

【理論獲得中心型の授業構成論の問題点①】

概念の転換をともなう場合には、三浦軍三氏の述べるように、論理操作によって新しい知識を導き出せないことを指摘した。

 

 

自分の考え

認識主体にとっての知識の意味を正当にふまえない限り、結局は「教師にとっての」説明のカバー範囲の大きな理論をただコトバだけで覚えさせることに終わってしまうのである。

従来の授業構成原理は、「何をどのように教えるか」という教師の視点で語られることが多かった。

しかし、教える内容は子どもにとって”切実なもの”である必要がある。

つまり「何をどのように学ぶのか」という子どもの視点で考えることが重要である。

認識を成長させる主体は子どもである。

主体である子ども自身が”切実性のある”課題に取り組み、自らの認識を成長させようと資質・能力を発揮できて初めて、意味のある学びが生じるのではないか。

 

 

論文情報

【タイトル】社会科の授業構成と子どもの知識の成長とについての考察(上)

【著者】藤井千春

【雑誌名】『社会科教育研究』, 第54号 , pp.30-43

【出版年】1986年

【こんなときにオススメ】認知心理学の知見を生かした授業づくりについて知りたいとき

【タグ】発達段階、問題解決学習

参考文献

藤井千春(1986):社会科の授業構成と子どもの知識の成長とについての考察(上) , 『社会科教育研究』, 第54号 , pp.30-43

社会科の授業構成と子どもの知識の成長とについての考察(上) | CiNii Research

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