「ウェッビング法」を活用した地域学習の単元を開発された關浩和氏の論文を紹介。
ウェッビング法とは「インターネットのWWW(World Wide Web)のWebと同じ「クモの巣」という意味で、コンピュータ・ネットワークの視点から導き出された手法である」とされている。
ウェッビング法の詳細については以下の文献を参照。
關浩和(2002)『ウェッビング法 子どもと創出する教材研究法』明治図書
この論文を紹介する理由
構成主義的アプローチに基づく学習理論について理解を深める上で参考になるからである。
本論文の中で「構成主義」を学ぶ上で、以下の文献が紹介されている。
- 佐藤学 (1996) 『教育方法学』 岩波書店
- 佐藤公治 (1996) 『認知心理学から見た読みの世界対話と協同的学習をめざして』 北大路書房
- 山住勝広 (1997) 『学びのポリフォニー教科学習の最近接発達領域』 学文社
- 中村和夫 (1998) 『ヴィゴツキーの発達論』 東京大学出版社
- ヴィゴツキー (2001) 『新訳版・思考と言語』 (柴田義松訳) 新読書社
この論文を読むことで分かること
- ウェッビング法を活用した具体的な授業の流れ
- ウェッビング法を活用した授業の有効性
論文の要約
研究の背景
現状の小学校社会科地域学習が抱える2つの課題
- 断片的な知識獲得に留まり、子どもの持つ常識的な内容を超えることができていない点
- 子どもの興味・関心に応じた内容の把握に留まり、社会認識の質が保証されていない点
研究の目的
現状の小学校社会科地域学習が抱える2つの課題を「ウェッビング法」によって改善すること
研究の方法
- ウェッビング法活用における論理の整理
- ウェッビング法を活用した単元の開発
- 開発した単元における有効性の考察
研究の有効性
思考の拡散と収束を支援でき、内容の焦点化が可能になることの有効性
自分の経験や既知と対峙する段階を位置づけることにより、達成意欲の喚起につながる有効性
情報を俯瞰するためのメタファ思考により、論点を明確にした意見交換が可能になることの有効性
学習過程における子どもの心理状態を考慮した単元構成が可能になることの有効性
今後の課題
新しい単元で実践を重ね、批判的に検討を加えることにより、改善していくこと
自分の考え
これからの社会科授業では、既にある知識を受け取るだけの授業ではなく、クラスのみんなで力を合わせて新たな知識を創造していく授業が必要になってくると考える。
しかし、そのような授業は簡単ではない。
例えば、一人ひとりの考えがバラバラで収拾がつかなくなることが考えられる。
実習で授業をした時も、「教えたいこと」と「一人ひとりの考え」が異なっており、限られた時間の中でマネジメントしていくことの難しさを感じた。
「ウェッビング法」は、このような問題の解決につながると考える。
論文情報
【タイトル】ウェッビング法による小学校社会科地域学習の単元開発ー第3学年単元「わたしたちの市ー広島かきー」の場合ー
【著者】關浩和
【雑誌名】全国社会科教育学会 , 『社会科研究』, 第59号
【出版年】2003年
【こんなときにオススメ】社会科の授業づくりについて学びたいときに
参考文献
關浩和 (2003) ウェッビング法による小学校社会科地域学習の単元開発ー第3学年単元「わたしたちの市ー広島かきー」の場合ー , 『社会科研究』 , 第59号 , pp.31-40
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