#28 理科授業における形成的アセスメントに基づく学習評価に関する質的研究ー小学校第5学年「物の溶け方」を事例にしてー

教授学習観

理科授業において、形成的アセスメントの実践を行い、実践した授業を質的に分析することで有効性を評価すること目的とした渡辺理文氏らの論文を紹介

 

この論文が解決したい問い

理科授業における形成的アセスメントの実践は有効なのか?

 

 

 

この論文を読むことで分かること

  • 理科授業おける形成的アセスメントの実践方法
  • 形成的アセスメントを実践した授業の検証方法
  • 形成的アセスメントの有効性

 

 

 

論文の要約

研究の背景

形成的アセスメントは生涯学習者の育成に関して最も効果的な方法であると説明し、実践を積み重ねている。(Clarke,2014)

形成的アセスメントは世界的に有効性が認められている。

しかし、「理論的・実践的な体系化は、いまだ途上にある」と指摘されている。(二宮,2016)

 

 

研究の目的
理科授業において、形成的アセスメントの実践を行い、実践した授業を質的に分析することで有効性を評価すること。

 

 

 

研究の方法
  1. 形成的アセスメントの理論的方略を規定する。
  2. 方略に基づいて理科授業を計画・実践する。
  3. 発話・ノートの記述から有効性を分析する。

 

 

 

研究の有効性

学習のための評価と学習としての評価が連携された形成的アセスメントによる教師のフィードバックの様子や子どもの相互評価・自己評価の様子、教師による指導の振り返りや修正・改善する様子を示すことができた。その成果は学習の評価で見ることができた。

 

 

 

残された課題
小学校段階の他の学年や他の内容、中学校段階でも形成的アセスメントの実践事例を積み重ね、有効性を評価していくことである。

 

自分の考え

この論文から2つの学びを得た。

1つ目は、「形成的アセスメントを授業でどのように行っていけばよいか」ということ。

Wiliam(2010)を基にして形成的アセスメントの理論的方略が示されている。

具体的には次の5つに整理されている。

①学習目標の共有・理解

②学習成果の表出

③フィードバック

④相互評価

⑤自己評価

これらの要素が授業のどの段階で行われているのかが詳述されており、学びになった。

 

2つ目は、「実施した授業をどのように検証すればよいか」ということ。

形成的アセスメントは、児童の学習状況を見取り、フィードバックを与えるという

即時的なコミュニ―ションであるため、有効性を検証することが難しいと考えられる。

授業の発話とノートの記述から丁寧に分析されており、

実践した授業を質的に分析する方法は学びになった。

 

論文情報

【タイトル】理科授業における形成的アセスメントに基づく学習評価に関する質的研究ー小学校第5学年「物の溶け方」を事例にしてー

【著者】渡辺理文・杉野さち子・森本信也

【雑誌名】『理科教育学研究』, Vol.62 , pp.159-172

【出版年】2021

【こんなときにオススメ】学習評価の実践について学びたいとき

【タグ】形成的アセスメント

参考文献

 

 

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