社会認識形成の「論理」と「心理」を踏まえた科学概念探求型の社会科授業モデルを、実験・実証的に追求することを目的とした福田正弘氏、蒼下和敬氏の論文を紹介。
この論文を紹介する理由
社会認識形成の「論理」を基盤としながらも、発達の立場から捉える「心理」も重視した授業構成を探る上で参考になるため。
この論文を読むことで分かること
社会認識形成の「論理」と「心理」を踏まえた科学概念探求型の社会科授業モデル
論文の要約
現在の社会系教科が直面している課題は、探求の授業過程において知識の質的な成長をどのようにして保証するかということである。
教育現場の現状をみると、科学的な知識の形成を保証する授業が普及しているとは言い難い
社会認識形成の「論理」と「心理」を踏まえた科学概念探求型の社会科授業モデルを、実験・実証的に追求すること
- 子どもの発達段階と科学的な社会認識との関連についての検討
- 科学的な社会認識を育成する社会系教科授業の実践と検証
小学校や中学校においてお、より具体的かつ丁寧な思考過程をたどれるような指導上の配慮がなされれば、内容を構造化し、探求型の授業構成をとることによって、子どもたちが意欲的に科学的な知識を形成することは可能であることが分かった。
小中学校それぞれの教員によって、子どもが科学的概念を探求する社会科授業の開発と実践の研究が進められること
自分の考え
科学的な知識を獲得させるために、知識をあらかじめ構造化することは重要である。
なぜなら、教える内容が明確になり、発問を精選することができるためである。
しかし、こうした授業の”教師の手のひらで転がされる”感も否めない。
子どもが授業に持ち込む既有知識や働かせる思考は一人ひとり異なる。
あらかじめ知識を構造化することは重要であるが、そうした子どもの個別性や固有性にどれだけ対応できるのだろうか。
本論文の目的は、社会認識形成の「論理」と「心理」を踏まえた授業実践研究であったが、どうしても「論理」の要素が強いと感じてしまった。
どうすれば、両者を統合した授業実践が可能になるのか今後も検討していきたい。
論文情報
【タイトル】社会認識の質的な成長をめざす授業の研究(3)~子どもの発達段階と科学的な社会認識~
【著者】福田正弘、蒼下和敬
【雑誌名】『長崎大学教育学部紀要』, No.50 , pp.1-16
【出版年】2010年
【こんなときにオススメ】認知心理学の知見を生かした授業づくりについて知りたいとき
【タグ】小学校社会科、発達段階
参考文献
福田正弘、蒼下和敬(2010):社会認識の質的な成長をめざす授業の研究(3)~子どもの発達段階と科学的な社会認識~ , 『長崎大学教育学部紀要』, No.50 , pp.1-16
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